きょうの夕日はどうだろう。きれいな丸い夕日が見られる日もあれば、雲のおかげで空がきれいに染まる日もある。1日として同じ夕日はないわけだが、あなたが夕日を見たのは何度目だろう? 逆にいえば、夕日をいくつ見逃して来たのだろう?

夕日に染まるのは空だけではない。海面はどんな色だろう。

目の前に広がっているのはカルデラの海。そして、夕日が落ちていくのは焼火山。実は、島前を3つの島に分け、カルデラの海を生んだ噴火は、焼火山のあたりで起きた。そのことを知っていると、見える風景も変わってくるかもしれない。

では、海の中はどうなっているのだろう。想像してほしい。

たとえば、サザエがいる。隠岐のサザエはふつうのサザエよりも殻にあるトゲが細長くとんがっている。なぜか。実は、内海は穏やかに見えても、外海の流れは激しい。冬の荒波となれば想像を絶する。隠岐のサザエの細長いトゲは海に流されて転がっていかないよう、踏ん張るために進化した形なのだ。当然、身も締まっていて、砂浜が少ない地形のおかげでジャリジャリすることもない。

海の中には岩ガキもいる。隠岐の岩ガキは「あたる」ことがないと言われる。なぜか。実は、カキは海水にふくまれるプランクトンを吸収している。その海水に細菌がふくまれているとカキが細菌をふくんでしまい、そのカキを食べた人間はお腹を壊してしまうことになる。しかし、ここは遠島。都市生活から遠く離れた隠岐の海は美しいまま。その一方で、海がきれいすぎてプランクトンも少ないためカキの育ちが遅い。たくさんは育てられないぶん、手間と時間をかけて育てているのが隠岐の岩ガキなのだ。

このあと、サザエや岩ガキを食べることがあれば、この話を思い出してみてほしい。すべての食材が大地とつながっているのだ。

最後に、この場所で寝転がり、頭を地面につけてみてほしい。すると、後頭部を通して脳が大地とつながる感触がないだろうか。そうしながら、少しの間、考えてみてほしい。隠岐のサザエや岩ガキがそうであるように環境によって変化するのは人間も同じ。あなたは自分が置かれてきた環境によってどんな進化をしてきたのだろう?

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