地球にぽつん。そう言われると、どんな光景が思い浮かぶだろう? 想像をふくらませてみてほしい。

星空を求めて人の光が届かない場所へ。そうして夜空を見上げたなら、眉間のチカラを抜いてみよう。深く呼吸をしてみよう。そうして、五感を開放していこう。

まずは視覚。たとえば、遠くに見える星の光。その星はあまりに遠くにあるため、その光が地球に届くまでにも時間がかかる。つまり、今見えているのは、はるか昔の星の姿。たとえば、オリオン座の右肩で輝いているベテルギウスは640年前の星の姿を見ていることになる。ただし、実際のベテルギウスは星としての寿命を終えて、すでに消滅している可能性があるという。そんな宇宙の中に自分がいることを想像してみてほしい。

次に、目を閉じて「音」に集中してみよう。風の音や波の音、人間じゃない生き物が大合唱しているかもしれない。たとえ姿は見えなくとも、彼らは確かに存在している。目に見えるものが全てではない。その感覚を見つめ直してみよう。

次は「におい」に集中してみよう。どんなにおいがするだろうか。このあたりの海は磯のにおいがしないと言われている。港に着いたときや、夕日を見ていたとき、そのことに気づいていただろうか。

そして、自分の肌をさわってみてほしい。海のそばにいるにも関わらず、あまりベタベタしないかもしれない。唇をなめても潮の味がしないかもしれない。それは一体なぜなのか。夜の海を見ながら、どんなつながりが見いだせるのかを考えてみてほしい。

そうして五感を開放していけば、真っ暗で何もないように見える夜でも、いろんなものが見えてくるかもしれない。

あらためて、地球にぽつん、そう言われると、どんな光景が思い浮かぶだろう。そのイメージの中で五感を働かせてみてほしい。すると、何が「ある」ことに気づくだろう?

それは、その手に持っているものかもしれないし、その手が届く距離にいるただ一人の人かもしれない。それこそが、あなたにとって大切なもの、本当の豊かさの正体なのかもしれない。

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