「海中展望船あまんぼう」に乗れば三郎岩を近くで見ることができる。しかし、たとえ船に乗れなくても、この場所から大・中・小の3つの奇岩が海から突き出している姿を見ることができる。なぜ、このような風景が生まれたのか。想像してほしい。
この3つの岩は、かつて1つにつながっていた。それも、この島と陸続きの岬の先端だった。しかし、風や波によって削られていくうちに3つの穴が空き、やがて3つに切り離された。いや、そうともかぎらない。太郎・二郎・三郎の呼び名で親しまれているが、もしかすると、四郎がいたのかもしれないと考えることもできる。あるいは、現在の三郎岩もまた明日にはなくなっているかもしれない。大地も人もずっと同じままではいられない。目の前にあるものは当たり前でなく今しか見られない風景。次に隠岐に来たときには三郎岩も自分も変わっていることだろう。
三郎岩だけじゃない。足元のゴツゴツとした大地は噴火したマグマが固まったものであり、その大地によって磨かれた水が近くの岩場から湧き出していることにも気づいてほしい。きっと、歩けば歩くほどいろんな話がつながっていくはず。そんな隠岐の旅の続きを楽しんでほしい。
永遠に思える大地も刻一刻と変化している。その風景と同じように、あなたもいつかは無くなってしまう。それでも、あなたが未来に残したいと思うものは何だろう? 最後に少し考えてみてほしい。