隠岐は断崖絶壁が多いのだが、とりわけ西側に多い。なぜか。冬の激しい季節風が北西から吹いてくるからだ。冬の荒波もまたその風によって生じる。しかし、海士町はといえば、西ノ島の存在によって守られるように位置している。ゆえに、海士町には迫力のあるジオは少ないといえるのかもしれない。

その代わり、海士町には平地があり米が作れる場所がある。それはこの明屋海岸のあたりで噴火が起きて、流れ出した溶岩が急峻な地形の凹凸を埋めるようにして流れたから。明屋海岸には「女神がお産をした」という伝説が残されているが、もしかすると、火山の噴火によって平野が生まれ、田んぼが生まれ、人々の命の源になっている、そんな歴史をお産の物語として隠喩しているのかもしれない。

ちなみに明屋海岸の岩壁が赤いのは火山が噴火したときに、溶岩が空高く舞い、鉄分が空気に触れて酸化した証。転がっている赤い石を拾ってみると、スポンジのような穴が空いていることに気づくはずだ。この話は「天川の水」の話につながる。一方で、明屋海岸のハート岩は波の侵食によってできたもの。このような穴が大きくなり、やがてアーチ状の橋のようになる。そして、その橋が落ちるようにしてつなぎ目が切り離される。そうして三郎岩のような姿になっていくのだ。

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