〈伝説〉の精神を受け継ぐペールエール

アメリカのクラフトビールを語る上で欠かせない、伝説のブルワリーがある。批評家たちは、そのブルワリーのビールを「世界中のあらゆるビールと比べても最高の部類に入る」と、手放しで絶賛する。

ブルワリーの名前は、シエラネバダ。創業者はケン・グロスマンという。グロスマンが1980年に完成させたのが、シエラネバダ・ペールエール。濃厚な味わいに松の香りが漂うこのビールは、瞬く間に話題に。アメリカのクラフトビール人気はこの1本からはじまったと言われるほど、革命的な味だった。

ブリマーブルーイングの創設者であるスコット・ブリマー氏も、この伝説のブルワリーに感銘を受けた一人。学生時代に飲んだシエラネバダ・ペールエールの深い味わいに衝撃を受け、在学中からシエラネバダで働く。のちには醸造も担当した。

その彼が2011年に立ち上げたブルワリーで、はじめて仕込んだビールは「ペールエール」。スタイルの名前をビールの名に冠した、王道の味だ。そこには、ビールへの新鮮な驚きと情熱が込められている。

ブリマーブルーイングのペールエールは、柑橘系の香りとやさしい甘さが調和するマイルドなビール。ブリマー氏の妻でもあるブリマーブルーイングの代表は、このペールエールについて「最初は手探りで、出来上がりは上々ながら納得のいく仕上がりではありませんでした。でも、少しずつ改良を重ねて現在は理想の味にかなり近づいてきています」と言う。

家族経営の小さなブルワリーで、醸造所自体は静かな住宅街の中で営まれている。一方、直営のビアパブ「ブリマービアステーション久地」があるのは、JR久地駅の目の前。改札を出て顔を上げれば、ビルの2階にその看板を見つけることができる。

窓を開け放った店内では、客の話し声と電車や踏切の音が重なり合う。ビアパブがオープンしたのは2017年。この店のオーナーは「店の存在がだんだん街に溶け込んできた」と穏やかに微笑む。

ペールエールの他には、ライトな味わいのゴールデンエールや、チョコレートのような風味がほのかに香るポーターを提供。オーナーによれば、「いつも味が安定していておいしい」と、地域の人から愛されているという。

「ブリマーブルーイングはインターナショナルビアカップで複数受賞したことのある実力派。川崎にも、コンペで受賞するような素晴らしいビールがあることを広く知っていただきたいと思っていますね」

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