時代が激変した明治のはじめ、郵便も発達した。下関に今もあるいちばん古い洋風建築物で、日本最古の現存郵便局「下関南部町郵便局」は、19世紀の終焉と同時期に建設された。日本はまだ明治時代である。改装を経てレンガ造りの上にしっくいが張り巡らされ、ノスタルジックな外観を前にすると、観光客はカメラをかまえずにはいられない。中庭で結婚式をすることもあるらしい。結婚式をするカップルは下関に思い入れのある人ばかりで、「どうしてもここで」と強く望み一生に一度のセレモニーを行う。

これは「たとえ郵便局機能がなくなっても、文化財としてここに残ってほしい」という近隣の人たちの気持ちの表れでもある。建築された当時を知る人はほとんどいない。だが子孫の代になっても、地元の人の宝物のような場所であることに変わりはないのだ。

近くには旧秋田商会、旧下関領事館と同じように古くから存在している建物がある。下関は、門司港とは異なる「レトロ」が味わえる場所でもあったのだ。

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