握り寿司、海鮮丼、フク、鯨。「関門の台所」と呼ばれる唐戸市場でさまざまな屋台を巡り、舌鼓を打つ。
「どっから来たんかん?」
売ってくれた女性が、声をかける。そのはきはきとした口調と親し気な雰囲気に驚いてしまった。昔ながらの友達のように話しかけてくれたから。
「東京です」と答えると、「おすすめはこれ!安いよ」と彼女は笑顔を浮かべた。
おなかいっぱいだったが、寿司を買って食べる。安い。それなのにおいしい。満腹だったことを忘れ完食した。その昔、門司港も下関にも多くの人がいたと聞くけれど、人が集まるところにはおいしい食べ物も集まるのだなあと実感する。
唐戸市場からは昭和の香りが漂う。とはいえ、さびれているわけではない。昔からの活気があふれている。「福招き市場」と呼ばれている理由がわかったような気がした。