かつては広島市内の別の映画館で働いていた溝口さんが、横川シネマの支配人としてやってきたのは1999年のこと。当時、成人映画館となっていた横川シネマを、独自の上映作品セレクトによって盛り上げてきた。

いまでも、映画のセレクトを行うのは全て支配人の溝口さんの仕事だ。溝口さん曰く、「うちがやらないと広島では見れない映画、もたくさんある」という。前述の通り、熱烈なファンによって上演が決まってきた音楽ライブの数々も、熱烈なファン本人たちの視点で選りすぐられたカルチャーだ。

横川シネマに集まるのは、メジャーな大衆文化だけとは限らない。全員が気にいるとは限らなくても、誰かにとってはみる機会が必要な文化。そうした作品をこぼさず掬い上げる横川シネマのあり方は、広島におけるサブカルチャーのセーフティネットのように必要とされている。

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