本宮と奥宮(おくみや)の間にあるのが、縁結びの神として信仰される磐長姫命(いわながひめのみこと)を祀った「結社(ゆいのやしろ)」。磐長姫命は、自分は良縁に恵まれなかったことから「せめて世の人々は縁に恵まれるように」と貴船の地に降り立ち、縁結びの神となったのだとか。

縁結びは男女の仲だけでなく、元は友人や親子など人と人のご縁を結ぶことを意味していました。そのため、貴船神社には恋愛や仕事、子宝などに恵まれるようにと良縁を願って、平安時代から多くの人が参拝に訪れていました。

平安時代の歌人・和泉式部(いずみしきぶ)も、ご利益にあやかりたいとこの結社を参ったうちの一人。美しい容姿と歌の才能を持ち、恋多き女だった和泉式部が結婚相手に選んだのは、彼女と引けをとらないほどモテる男でした。和泉式部は移り気な夫に思い悩み、夫婦円満を祈願するためにここへ足を運んだとされています。

車もなければ、舗装された道もない時代。険しい山道を、やっとの思いでここまで登ってきたに違いありません。それほどまでに夫を愛し、夫婦の仲を取り戻したかったのでしょう。そんな和泉式部の気持ちに思いを馳せながら、奥宮へと向かいましょう。

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