幕末に花開いた巨人を祀る

幕末にかけて、数々の優秀な人材を生み出した松代。その中でも、特に大きく花開いたのが佐久間象山だ。自信家で、正しいと思ったことは相手にかかわらずはっきり意見した象山は、時に疎まれることもあった。しかし、8代目の藩主は象山を高く評価していたという。気難しい性格を補ってあまりある才能が、象山にはあった。

40代になると江戸で塾を開き、砲術や兵学を指導する立場となる。この塾で学んだ人物は、勝海舟、吉田松陰、坂本龍馬など、幕末に活躍した錚々たる顔ぶれ。象山は強い思想を胸に、開国に向けて行動を続けた。しかしその言動は敵対派から目をつけられ、ついに京都で暗殺されてしまう。彼を斬った人物は、河上彦斎といわれている。幕末の四大人斬りの一人で、『るろうに剣心』のモデルと言われる男だ。

山ほどの人を斬り捨ててきた彦斎だが、象山と対峙した時には身の毛が逆立つほどの動揺を覚えたという。そして彦斎はこれ以降、人斬りをやめた。佐久間象山とは、それだけの大きな存在だったのだ。

境内には、象山生誕の地もある。その入り口に位置するのが心の池。神田川から泉水路で水を取り入れ、山寺常山邸を経てここに来て、また下流へと続いていく。その池では鯉がゆったりと泳いでいる。

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