もう一度、せせらぎに耳を澄ます

真田家が治め続けた松代は、江戸時代の250年間、この地域の中心であり続けた。しかし明治を迎えると、善光寺のある現在の市街地が街の中心を担うようになる。中心地から外れた松代は、時代から取り残されたように、急速な変化を免れる。その結果、泉水路をはじめとした、当時の街並みがタイムカプセルのように残った。

この土手を歩きながら、川の中に石を積んで作られた取水路を探してみてほしい。ここから取り入れられた水が、松代の街を血液のように流れているのだ。この水の行く先を、つまり、これまで歩いてきた道を思い出してみてほしい。泉水路の清らかな流れ、ゆったりと鯉が泳ぐ池、豊かな水堀。そんな風景が目に浮かぶかもしれない。

この街は、水でできている。真田家の時代から変わらない水の流れが、過去と現在をつなぐ。そのせせらぎが、松代を松代たらしめている。

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