城下町にある中でも、その門はひときわ大きい。間口13メートル、奥行き3.7メートル、高さ6.8メートルのこの門は、真田家が特に頼りにした家臣、矢沢家の門だ。屋根には六文銭があしらわれ、城門を彷彿とさせる風格が漂う。
ここは江戸時代、城へ向かう正式な道だったという。そのため、道の両側には矢沢家をはじめ重要な家臣の家が立ち並んでいた。矢沢家の始祖は、真田家の遠い親戚にあたる。両家の関係がはじまったのは、真田が松代を治めるよりも前。真田家が成長するにつれて矢沢家もその地位を確立していった。
江戸時代を通して、矢沢家は家臣の中でも最高の家柄であり続けたという。250年を超える両家の付き合いからは、矢沢家の忠誠心、そして真田家がそれだけ信頼に足る存在だったことがうかがえる。