水の街に湧く赤茶色の湯

水の街である松代は、温泉が湧き出る土地でもある。戦国時代、川中島の戦いの頃には兵たちがこの湯で疲れを癒したと伝わり、「信玄の隠し湯」とも言われていた。

その湯は一般には開放されていなかったが、湯治文化が普及する中で状況が変わっていく。江戸時代中期には、村人が松代藩に願い出て、温泉場が開設されたという記録が残っている。それまでは草津など遠くへ足を伸ばす必要があった湯治が地元でできるようになり、庶民はさぞ喜んだことだろう。

松代温泉の湯の色は、オレンジがかった赤茶色。湧いた時は透明なのだが、湯に含まれる鉄分が空気に反応してこの色になる。湯の底が見えないような色合いや、浴槽や床に固まった温泉成分がついている光景は最初こそ驚くかもしれないが、それだけ成分が豊富な証だ。

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