欠かせないのは「光と水」

そばを盛りつける竹ざる。戸隠そばでは、そばざるは戸隠竹細工のものがほとんどだ。

深い雪に覆われ、農業ができない冬の手仕事として、戸隠竹細工は技術が継承されてきた。特徴は、標高1000メートル以上の山の中に自生する地元産の「根曲がり竹」を使っていること。この竹は、根本付近から曲がっているためにこう呼ばれる。地域の産業を守るため、根曲がり竹の採取は中社地区の職人にだけ許されてきたという。

根曲がり竹は、特有の光沢と、繊維の細さからくるしなやかさを持つ。戸隠竹細工では、この竹の特性を熟知した職人が手作業で編んでいく。無理な力がかかれば竹は割れてしまうので、研ぎ澄まされた感覚が求められる。そばざるは、熟練の職人でも1日に2枚しか編むことができない。

職人にいい竹の条件を聞いてみると、日当たりのよさと、たっぷり水を吸って育っていることだという。光と水、それは竹細工においても欠かせないものなのだ。

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