女人禁制を破った尼僧
江戸時代まで、中社より奥の「戸隠山一帯」は女人禁制の地とされていた。先ほどの道標があった場所にも以前はお堂があり、奥へ入れない女性たちが参拝をしたと伝わっている。
ところが、中にはその禁を破って先へ進もうとした女性もいたという。ある尼僧は「私は出家したのだからもう女ではない」と言って、奥院へと進んでいった。歩き続けるうち、尼僧の体はだんだん重くなり、いつの間にか石になってしまった。道の右手にあるこの比丘尼石は、かつて尼僧だった者の姿だという。
明治時代になると女人禁制は解かれ、誰もがこの道を通れるようになった。今では比丘尼石の伝説だけが残っている。