阿弥陀様の48の願いの中で、もっとも大切な18番目。それは、あらゆる人が「ナムアミダブツ」と10回唱えるだけで極楽浄土へ行けるようにするという願いだ。
そもそも、なぜ誰もが善光寺を目指したのだろうか。善光寺の阿弥陀様は、死んだ人を極楽浄土へ導く存在だ。極楽浄土とは、経典では「一切の苦しみがなく、ただ楽だけがある」場所とされている。宝石でできた大地に輝く蓮華の花が咲き乱れ、そよ風の中で美しい音楽がどこからか響いている。極楽浄土の住人は健康な肉体とすぐれた頭を持っているので、人と比べて優劣を気にすることもない。衣食住の必要なものもすぐ目の前に現れるので、欲望に苦しむこともないという。
欲望や見栄、死ぬことへの恐怖。こうした感情は、生きている限り誰にもつきまとう。しかし善光寺にお参りすれば、「死ぬ時には阿弥陀様が迎えにきて、極楽浄土へ連れていってくれる」と信じることができた。そうすることで、この世の苦しみに耐えることができたのだ。極楽浄土の約束は、人々が良く生きるための希望の光となっていた。