「ひさご」とは、瓢箪(ひょうたん)のこと。「ひょうたん石」という愛称を持つこの石は、大阪の太閤園から移設されました。
ひさご石が作られたのは江戸時代末期から大正時代にかけてと考えられます。石質は、白川石と太閤石の混合石です。京都で採掘される白川石は、白くて中粒の緻密な石材で、近世まで京都市付近の建造物のほとんどに使われていました。延暦寺で知られる比叡山は、この白川石から成る岩山です。白川石の中でも「太閤石」と呼ばれるものは、太閤秀吉の時代に切り出されたものと言われています。それ以降に採掘された白川石に比べ、気泡を多く含み風化しやすいのが特徴です。
秀吉は、戦場で自分の居場所を示す馬印(うまじるし)に千成瓢箪(せんなりびょうたん)を使っていました。上よりも下のほうが大きくふくれる「末広がり」の瓢箪は、発展を象徴する縁起ものとして古くから親しまれてきました。強い吸引力で邪気を吸い込み、空気をきれいにするという幸運を運ぶ存在でもあります。それゆえに秀吉も瓢箪を好み、シンボルマークにしたのではないでしょうか。
もしかするとこの石の作者は、太閤秀吉にちなんで太閤石にヒョウタンの形をくりぬいたのかもしれません。