子どものまなざしを 借りて見る

一周430m。東京ドーム1.5個分(約6ha)の森が広がっている。都会で暮らしていても、生き物とふれあえるように整えられた小さな里山だ。入口に立つと想像以上に別世界。「ビオトープ=生き物が暮らしやすい空間」にするため、かなりワイルドな獣道となっている。冒険の途中には、ところどころに案内板がある。メダカやドジョウに会うこともあるだろう。自然教室も開催していて、親も子どもと一緒に学ぶことができる。

世界が輝いて見えたあの日。そんな言葉が稚拙な戯言に聞こえるようになったころ、人は子どもを育てはじめる。それは、自分が子どもだったころを順番に思い出していくという、追体験のようなもの。そうやって、人はもう一度、生まれ変わるようにできているのかもしれない。子どもの反応や成長を見ながら、自分も昔はそうだったと心を重ねる。ふいに、自分が子どものころに見た風景と重なる瞬間もあるだろう。そうして、変わらないもの、変わり続けるものが見えてきたとき、人は本当の意味で大人になるのかもしれない。

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