目を閉じて 音に耳をすませる

明治29年に建てられた木造の洋館。皇族が温室を訪れたときの休憩所として建設され、その後、増築してゴルフやテニスのクラブハウスとしても使われた。空襲による被害をまぬがれたこともあり、当時のままの建築のようすが見てとれる。たとえば、アメリカで流行していた「スティック様式」。スティックとは柱。柱をデザインとして外観で見せるスタイルが特徴である。たとえば、窓の下にあるX型の柱。外壁の上部にあるのもそう。国の重要文化財に指定されている貴重な建物で、毎月第2・第4土曜日は館内を見ることができる。

新宿御苑に都会の音は届かない。静かなこの場所で、ふだんはかき消されている自然の音に耳をすませてみよう。葉が擦れる音、川のせせらぎ、鳥の鳴き声。そんな地球の音がきこえてくる。目を閉じて音の発信源をたどってみると、そこには、ひとつの風景があるはずだ。目に見える景色だけが風景じゃない。五感のすべてが心象風景を見い出すための瞳となる。

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