ソック・ポーンさん
1965年、タケオ生まれ/神奈川県在住
ソック・ポーンはカオイダン・キャンプで結婚した後、チョンブリ・キャンプへ移り、日本への渡航前にしばらく暮らしていた。そこで彼女の夫は歌の入ったカセットテープを売る商売をしていた。
タイ国内ではクメールの昔の歌が入ったカセットが買えたので、彼はキャンプの外へ出てカセットを仕入れ、コピーしてキャンプで売った。カセット1本が15タイ・バーツ。アメリカ、カナダ、フランス、オーストラリアなど、第三国への出国をひかえた難⺠たちがよく買いに来た。
1987 年、日本での生活が許可されたという通知を受けて、夫はこの仕事を続けようと300本のカセットを日本へ運んだ。しかし思い通りにはいかなかった。来日して周囲の環境が変わり、以前カセットを買っていたカンボジアの難⺠たちは、クメールの歌を聴かなくなった。結局、彼はこの商売を断念した。
それでも夫婦はこの300本のカセットテープを捨てずに保管している。