中原円(ソック・クーン)さん
1971年、バッタンバン生まれ/神奈川県在住

カンボジアから難民キャンプへ逃げてきた時、彼女の一家は父、母、兄で銀塊を少しずつ手分けして持ち、米を入れた胴巻きにしまって隠し持っていた。この銀塊はタカエウ州から持ってきた家宝だった。

彼女の両親は必要なときにこの銀塊を他の品物や食料と交換できると信じていた。夜の森を越えて難民キャンプへ向かう間、幼いソック・クーンは、ひどく疲れ果てていた。彼女の母はどうにかして幼い子どもたちを歩かせようと苦心した。

母親は子どもたちに言った。「がんばって歩いたら、砂糖のかかったバゲットを食べさせてあげる」それを聞いて、子供たちは一生懸命歩いた。コーク・トゥユーン・キャンプに到着すると、彼女の母は銀塊の一部をバゲットと交換した。1997年、彼女の母はカンボジアに本帰国する前に、大切な銀塊を彼女に手渡した。

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