中原円(ソック・クーン)さん
1971年、バッタンバン生まれ/神奈川県在住

カオイダン・キャンプでは、シェルター用の防水シートと食糧が一家に与えられた。しかし彼女の父は、もう少し収入を得ようとした。父はカオイダン・キャンプにある山の石を持ってきて、調味料やハーブ、薬味などを潰す、すり鉢を作った。

他の難民に売ったり、親戚にあげたり、自分自身で使うためにもいくつか取っておいた。このすり鉢は手作りだったので、そうたくさんは作れなかった。

彼らは日本に、このすり鉢を持参した。しかし横浜から川崎へ引っ越した時に失くしてしまった。ある日、彼女の義理の姉が愛川の川べりでバーベキューをした。彼女は河原の石を拾って失くしたすり鉢の代わりにした。

ソック・クーンの母は、カンボジア料理を作る時はすり鉢を使った。父のために料理を作るときは必ず手で搗くため、すり鉢を使うことは暖かい心や愛情の表れだと思っていた。また、ミキサーにかけるよりも、すり鉢を使う方がおいしく仕上がる。

両親がカンボジアに本帰国する前の1996年に、彼女は母からこのすり鉢を譲り受けた。

Next Contents

Select language