屋島寺の宝物館には「屋島合戦図」という掛け軸がある。それは、日本に古くから伝わるパノラマと言えるかもしれない。屋島の戦いのさまざまなドラマを描いた日本画ならではの一枚絵。まずはそのお宝を見にいこう。
そのために、おさらいしたいのが平家物語のあらすじだ。平安時代の終わり、平家の平清盛はたくさんの功績をあげて大臣の地位まで登りつめる。権力をほしいままにした清盛は自分の娘を天皇に嫁がせ、その娘が生んだ孫を天皇の座に据える。しかし、平家の独裁体制に対して、源氏が反旗を翻す。ちょうどそのころ、折り悪く平清盛が病死する。平家は源氏から逃れるために京都から脱出。各地を転々としたのちに屋島に逃げのびる。屋島に安徳天皇の住まいである内裏を作り、拠点としたのである。しかし、源氏の追手はすぐそこまで迫っていた。そして、源平合戦において大きな意味を持つ屋島の戦いの火蓋がきられる。
この物語の続きは合戦図の中にある。後に紹介する継信の死、扇の的、錣引きなども描かれているが、まずは自由に物語を想像してほしい。
なお、屋島寺が創建されたのは奈良時代と言われている。屋島寺は源平合戦の前から屋島に存在し、屋島の歴史をずっと見つめてきたのだ。