ここに「船玉社」と呼ばれる社があります。その中には船の形をした御神体があります。

船といえば、リアス海岸は天然の防波堤になるため、舟を停めやすい港でもありました。そのため、古くから東北や九州から舟が集まるだけでなく、ときに、大陸や朝鮮半島からの舟もやってきました。

室町時代にはインドネシアからの南蛮船も初上陸。その南蛮船が運んできたのは、世にも奇妙な生き物たちでした。オウム、クジャク、そして、ゾウ。いまだかつて見たことのない動物たちの姿を見て、当時の小浜の人たちはどのようなリアクションをしたのでしょう。「あなおそろしや」と身を隠したのか、「いとおもしろき」と野次馬したのか。いずれにせよ、小浜に上陸したゾウは1ヶ月かけて京都に運ばれていきました。メインルートを堂々と歩いていったのか、人目につかないルートでこっそり運んだのか。そのときのことは秘密にしておきますが、外国からの摩訶不思議なものが運ばれる道でもあったのです。

この船玉社にある御神体は江戸時代の北前船。しかし、それより昔から小浜は世界とつながる一大港であったのです。

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