ここには、「若さ」にまつわる、とある伝説が残されています。

むかしむかし小浜で美しい女の子が生まれました。すくすくと育った女の子はある日、父親が竜宮城から持ち帰った「人魚の肉」を口にします。すると、不思議なことに何年経っても16歳の姿のまま、年老いることがなくなりました。そして、120歳になったころ、出家して尼さんとなり、全国を旅しながら各地でさまざまな奇跡を起こします。やがて、800歳になったころ。時は室町時代、京都で目撃された尼さんは醜い老婆の姿になっていました。親しい人に先立たれてもなお、自分だけが生き続けることに疲れたのでしょうか。それから故郷の小浜に戻り、この洞窟に入り、そのまま出てくることはありませんでした。

この尼さんは「八百比丘尼」と呼ばれ、全国各地でその物語が語り継がれています。このような伝説もまた鯖街道をつたっていったのでしょう。

しかし、八百比丘尼は本当に人魚の肉を食べたのでしょうか。ジュゴンの肉か、イルカの肉か。あるいは南蛮からもたらされた摩訶不思議なものだったのか。小浜が外国から不思議が集まる港だったからこそ、このような伝説が生まれたのかもしれません。

実は、この伝説には続きがあります。この洞窟に入るとき、八百比丘尼はこんな言葉を言い残していました。「この椿が枯れたら成仏したと思ってください。」その椿の花はどうでしょう。今現代も咲いています。ということは、八百比丘尼は生きているかもしれません。1400歳になった今も16歳の美しい姿で。フフフ。

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