あなたはこの川の音に気づいていたでしょうか。勢いよく流れるこの川は、熊川のBGMとしてだけでなく、昔から熊川の暮らしのバックグラウンドに流れ続けてきました。魚や野菜を洗ったり、水の流れを使って水車をまわしエネルギー源にしたり、防火や雪消しにも使われていました。

そばには「かわと」と呼ばれる洗い場があります。水を汲んだり、洗濯をしたり、この川とともに生活をしてきた熊川の人の姿が目に浮かぶようです。1本の川を分け合うのだから連帯感も必要です。汚いものは別の水路に流したり、この川の水をみんなで大切に使ってきたのです。

この水は鯖街道を行き交う牛馬の飲み水でもありましたが、もうひとつ。鰻の休憩場所であったかもしれません。京都の人たちは新鮮な鰻を求めています。「なんとかして鰻を生きたまま届ける手段はないものか。」そう考えた末に、この川の水で鰻を休ませた。そして、熊川から先にも鰻のための休みどころが整備されていたとも。そうして、京都までイキの良い鰻を運んでいたのです。

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