2階を見上げてみましょう。まず窓の形が特徴的です。虫籠のような形をしていることから「虫籠窓(むしこまど)」と呼ばれ、その多くは漆喰で固められています。おもに「真壁造」と「塗込造」の2つのタイプがあり、真壁造は柱の木の表面が外に出ているのに対し、柱まで漆喰を塗り込んで木の部分が見えないものが塗込造。当然、塗込造のほうが火事に強いと言えます。この「旧逸見勘兵衛家住宅」も塗込造です。
中丿町にはたくさんの問屋が建ち並んでいました。小浜から来た鯖売りは下丿町から順番に熊川の問屋に魚を売り歩いたわけですが、ここまで来ると中丿町も終わりに近い。この場所にたどり着くまでに魚が売り切れていればよいのですが、そうでなければ余り物だと値切られて買い叩かれてしまう。だからこそ、鯖売りたちはなんとしてもこの先の橋を渡るまでに売り切りたかった。そんな想いから、この橋のことを「地獄橋」と呼んだと伝わっています。
そして、熊川から先はといえば「街道稼ぎ」と呼ばれた熊川の運び屋にバトンタッチ。屈強な男たちが京都に向かいます。