6階表示はステンレスのパイプを曲げてつくられている。この加工を担当したのは、金属棒やパイプの曲げに特化した「平川製作所」。

素材はステンレス・真鍮・アルミなどなんでもござれ。完成した製品は、医療機器、厨房機器、インテリア家具、ゲーム機器など様々な製品のパーツとして使われている。

職人の腕となり加工を行う機材は「ベンダー」と呼ばれ、油圧で圧力をかけて材料を曲げていく。

ベンダーは、材料の直径や求められるアール(角の丸み)に応じて金型を付け替えている。平川製作所の所有する金型はなんと1300以上。

代表の柳沢重幸さんは「これだけの金型を所有している工場は東京でも数えるほどしかない。まさしく我が社の生命線です」と話す。

金型はひとつ40~50万円で、オーダーしてコツコツと増やしていったもの。金型があるほど、できる加工は増えていく。

できることが増えれば「平川さんにやってもらおう」とオーダーも増える。だから金型は平川製作所の資産であり、武器である。

今回の加工では合計6種の金型を用いてパーツがつくられ、溶接でつなぎ合わされた。

この工程も大田区ならでは。パーツは手渡しで別の工場に運ばれ、加工されて次の工場にリレーされていく。

「工場が密集しているからこの方が便利なんですよ。たまに自転車で運ぶときもありますよ」と代表の柳沢さんは話す。

「横のつながりが強いから、評判はすぐに広まっちゃう。だから腕のいい工場はひっぱりだこなんです。いつも僕らが頼んでるところに別の工場が発注しようとしたら、『納品が迫ってるからちょっと待ってよ』と交渉することもあります(笑)」。

ここで6階表示を見てみよう。パイプはひとつにつながり、切れ目がない。大田区の工場のようにお隣さんと協力して、ひとつの形をつくっているのだ。

さて、次は「5」のオブジェに目を移そう。洗練された金属加工の粋を紹介したい。

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