あんた黒湯は入ったかい? なに、入ってない!?
ダメだよそれじゃ。黒湯はこの街の名物だからね。来たからには入ってもらわないと。

なに? 黒湯ってなんですかって?
黒湯ってのは、その名のとおり真っ黒なお湯さ。大昔の海藻や木が腐食し、地下水と一緒に湧き出たものらしい。手ですくうと茶色くってね。湯上がりの肌はつやつや。うちの母ちゃんもよく入りに行ってる。体が温まって血行が良くなるから、色んな病気にも効くみたいだよ。

はじめて黒湯に入るなら蒲田温泉に行ってみな。昔っからある銭湯でさ。開業は昭和12年って言ってたかな。おれも小さい頃から通ってるよ。朝は10時からやってるから、街に出かける前に立ち寄ってもいいだろうね。

ここは老舗だけど、施設はピカピカなんだ。ご主人は浴場専門の建築士をしていて、ここの建物もちょくちょくリフォームしているそうだ。

お湯は真っ黒でね、底なんて見えない。それとね、あつ湯とぬる湯があるんだよ。下町の人間はあっつ〜いお湯が好きなんだ。熱い方は50℃くらいで入ると皮膚がビリビリするね。なに、それが気持ちいいのさ。ぬる湯は40℃前後で、下町育ちのおれにゃあ物足りないね。黒湯のほかにはジャグジーや電気風呂、サウナに水風呂もある。

蒲田温泉には黒湯以外にも名物があるんだ。それが2階の宴会場だ。カラオケができる舞台があって、酒も飲めるし食事もできる。

美味いのは釜飯定食だね。炊きたてのご飯はツヤッツヤで、ペロッと平らげちまうよ。ほかにも魚介が入った塩焼きそばも美味しいよ。料理はぜんぶ女将さんの手作りで、材料は国産なんだってさ。焼酎もボトルキープできるからおれも置いてるよ。

なんて言やぁいいかな、ここは地元の人間の社交場なんだ。銭湯ってのは裸になる場所だろ? カッコつけてもはじまんないから、みんなすぐに包み隠さず仲良くなれるのさ。

あんたもよければ一曲歌っておくれよ。きっと地元のおっちゃんおばちゃんも快く迎えてくれるよ。それが下町情緒ってもんさね。

営業時間:10:00時〜深夜1:00(2階ホールは12:00〜21:00)
定休日:年中無休(平日水曜日、ホールは休み)
電話:03-3732-1126
住所:大田区蒲田本町2-23-2

Next Contents

Select language