あら、小豆洗いの歌が聞こえる。あんな歌を歌ってるけど、基本は川辺で小豆を研ぐだけの無害な妖怪よ。

江戸時代になると、恐れられていた私たち妖怪は娯楽の対象になっていった。江戸時代後期、鳥山石燕という絵師が、私たちを図鑑みたいな一冊の本にまとめたの。まるでカブトムシや蝶のようにね。みんなそれを見て面白がっていた。「怖い」なんていう人は「ヤボなヤツ」ってバカにもされていた。そんなことだから私たち妖怪は「見世物」としていろいろな面白いネタになっていったというわけ。


江戸時代は戦国時代の後に300年も続いた平和な時代。人間たちは妖怪話で夜な夜な盛り上がれるくらいには暇だったみたい。それに版画の技術が発達して、たくさんの浮世絵が出回ったのもこのころ。多くの人たちがカラフルな妖怪の絵を安く買うことができたから、私たちの姿が一気に全国に広まるきっかけにもなった。妖怪の人気はとても高くて、日本で一番有名な浮世絵師・葛飾北斎もたくさんの妖怪を描いているのよ。

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