今から400年前、熊本には横手の五郎という奇跡の人がいた。幼い頃から力持ちで知られた大男で、牛を軽々と持ち上げたという伝説も残っている。五郎の怪力は加藤清正にも認められ、熊本城の築城でも大活躍する。しかし、清正から反逆の疑いをかけられて、井戸に生き埋めにされてしまった。
悲しい運命をたどった五郎だけれど、地域の人からは愛されていた。五郎は死後、神様として祭られ、この横手阿蘇神社にある五郎大明神立像が造られる。高さ2メートルの像は迫力があり、向き合うと思わず息を呑む。昭和に火事に遭ったため表面は焼けているが、それがかえって五郎の力強さを際立たせている。