横川の町を歩いていると、商店街振興組合の村上さんの話を思い出す。「商店が立ち並んでいるのが商店街だと思っていたけれど、そうじゃない街もあるんだと思った」と語られていた。
カモメのばぁばぁもまた、そんな町の多様性を担う場所の一つだろう。店主のリリーさんは、長年デザインの仕事を行ってきた方。子育てが落ち着いたタイミングで英国へと語学留学に行き、留学先の現地では勉強をしながら絵を描いていたという。欧米で沢山のギャラリーを見るなかで、リリーさんは「街中にもっと、アートを身近に感じられる場所が欲しい」と思うように。
帰国した彼女が考えたのは、さまざまな人が作品を展示するための場所をつくること。「ないなら作ってしまおう」。そんな精神性は横川ならではのものだと感じる。