江戸時代から残る水路網

真田邸は、9代目の藩主が母親のために築いた隠居所だ。広大な敷地に立つのは、大小53の部屋を持つ、大名の風格漂う御殿。その中心には、風光明媚な庭園がある。この庭園は、座って見ることで完成する。そうすることで、松代の街を抱くようにそびえるノロシ山が借景となるのだ。

目線を低くすることで、庭園の緑の中にある池にも気づくだろう。この池は「泉水路」と呼ばれる、江戸時代から残る水路網の一部。上流の川から引き込まれた水が、各家庭の庭にある池を経由し、ここまで流れてきているのだ。そしてその水は、さらに下流へと流れていく。

「この街は、水でできている」。その言葉の意味が、少しずつ見えてきた。

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