参道をしばらく歩くと、茅葺きの門が見えてくる。戸隠神社に現存する建造物では最古と伝わる随神門だ。この先の神域に邪悪な者が入ろうとするのを防ぐため、建物は邪気を祓う朱塗り。左右では弓矢を手にした随神像が前を見据え、手前では一対の狛犬が門を守っている。
一礼して門をくぐり、今来た参道を振り返る。立冬と立春の頃には、随神門の真上に太陽が上る。立冬から立春の間は、もっとも昼が短くなり、太陽の力が弱まる季節。この場所に門があるのは、戸隠の厳しい冬を乗り越えるため、太陽の力を借りようとする意味が込められているのだろう。
極寒の夜明け前、辺りが少しずつ明るくなり、眩しい太陽が姿を現す。アマテラスが再び顔を見せた、天の岩戸伝説を追体験しているように思えるかもしれない。その瞬間を、想像してみよう。