浅草寺から西へ20分。
住宅街の中に佇むアパートの1Fに小さな手書きのサイン「日の出湯」がある。入り口を入ると、右手の番頭に4代目オーナーの田村祐一さんの姿が。目が合った田村さんが笑顔で迎え入れてくれるはずだ。
奥を見ると「男」と書いてある味のある暖簾。ロッカーの隣のベンチでは近所のおじいさんが静かに新聞をめくる。
ここは、ランナーも立ち寄る、浅草には珍しいランステーション。かつ、檜風呂・ジャグジー・スチームサウナ・炭酸水シャワーが楽しめる、地元の人に愛されている銭湯だ。
かつては一つの家に一つのお風呂はなかった。
だから、銭湯でお風呂に入る習慣があたり前だったが、近年ではほとんどの家にお風呂がある時代。日の出湯のような家族経営の銭湯は、この時代の流れをもろに受ける。ただし、だからと言って諦めない。銭湯という場所を新たな視点で盛り上げていこうと斬新な試みを始めたのだ。銭湯の新しい価値を探るため、銭湯の未来を創るWEBマガジン「SAVE THE 銭湯」をスタート。
家族や友だちとの外食や外遊びするような感覚で、銭湯にいって欲しいという思いから生まれた。
「銭湯が日常の場所でなくなりつつある今、友だちと一緒に銭湯に行きたい!そう思ってくれるような企画を考え始めました。何をすれば銭湯に人が集まってくるのか」。
試行錯誤をしていたある日。田村さん宛に日の出湯の風呂場を使ったダンスイベントの提案が届く。銭湯の中は音がよく響くので、近所の方に迷惑を掛けてしまう。そこで考えたのがサイレントフェスというイベントだ。
(サイレントフェスというのは参加者がヘッドフォンをつけて、同じ音楽を聴き、楽しむサイレントダンスパーティー。)
お風呂場での静かなダンスパーティー。これは今までの銭湯ではありえない企画。反響も大きくアンコール開催するほどに。そのイベントからヒントを得た田村さん。湯船に浸かりながらいろんなクリエイターに話を聴く「はだかの学校」を次に企画した。
これらのイベント効果で日の出湯は注目されてきたが、田村さんの目的は日の出湯の宣伝ではない。このような企画を通して、銭湯をコミュニティーハブにしたいと思っている。もし運良く、イベントが開催されていたら、ぜひ参加して欲しい。きっと世界でここだけだから。銭湯の心地よさを再発見できるはずだ。
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住所:〒111-0041 東京都台東区元浅草2-10-5
営業時間:15:00~0:00
最終受付:23:40
定休日:毎週水曜日