写真展 キム・ハク

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Introduction

「Alive IV」

「キム・ハクの写真は記憶をたどる旅である。その旅は苦しみを呼び覚ましながらも、深い寛容と優しさに満ちている。」ーリティ・パン(『Alive III』序文より)ー

1970年代のカンボジアでは、クメール・ルージュ政権下の圧政と虐殺、戦争を逃れて大勢のカンボジア人が国外への脱出を余儀なくされました。彼らは家を出るときほんのわずかな持ち物しか持ち出せず、最も貴重なもの、あるいは最も実用的なものだけを手に、故郷を去りました。

政権が崩壊した2年後にカンボジアで生まれたアーティストのキム・ハク。彼は両親から当時の様子を聞いて育ち、この史実と個人の記憶に関心を持ちました。2014年から、クメール・ルージュ時代を生き延びた人びとを訪ね、彼らの持ち物とその物語を写真とテキストで記録するプロジェクト「Alive」をスタート。

「Alive」は彼の両親へのインタビューから始まり、その後は紛争後に祖国を離れて暮らす人にも焦点を当て、第2章(オーストラリア・2015)、第3章(ニュージーランド・2018)へと続きます。そして、本ガイドでご案内する第4章「Alive IV」では、1980年代に日本へ渡った難民を含む12組のカンボジアの家族の物語を中心に構成されています。

黒い背景に凛として浮かびあがるのは、彼らの持つ所持品の写真。写真に映された腕時計、家族の写真、片割れのピアス…これらは、遠い故郷と新しい土地での思い出が凝縮した記憶の器なのです。

それぞれの所持品には、どんな物語があるのか。オーディオガイドを聴きながら、想像を膨らませてみてください。それでは、写真の中に眠る記憶の旅へと向かいましょう。

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